カジノ業界における新型コロナウイルス対策の現状

2019年終盤に中国で最初に感染が広がった「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」は、2020年に入ると世界中に感染が広がり、同年8月はじめの時点で全世界でおよそ1,800万人が感染し、約69万人が亡くなる非常に深刻な事態に発展しました。
感染拡大によって各国の経済にも甚大な影響を与え、さまざまな業界が売上が出ずに苦境にさらされています。

 

実店舗では営業を続けるためには感染症対策が必須に

これは、カジノ業界も例外ではありません。
インターネット上のみで営業していて実店舗を持たないオンラインカジノはあまり大きな影響を受けていませんが、実店舗では営業を続けるためには感染症対策が必須となりました。
コロナ禍が始まる前までのように営業ができるようになるには感染が収束することが不可欠であり、当分時間がかかりそうです。
業界における感染症対策についていくつか例を述べると、まず世界有数のカジノ都市として知られている中国の特別行政区・マカオでは、1月下旬に中央政府が本格的に対策を開始するのと同じタイミングで防疫措置を開始しました。
感染がピークに差し掛かった2月には、当地の政府の命令ですべての店舗が2週間閉鎖となり、統合型リゾート施設ではカジノと併設されているレストランやフィットネス施設、プール、娯楽施設なども一時休業を余儀なくされました。

 

利用客に対しても館内の施設に入場する度に検温と健康状態の申告を実施

閉鎖は延長されずに2週間で解除され、防疫措置を講じる条件で営業ができるようになりましたが、その後もマカオ政府の方針に沿った厳しい入場制限が現在に至るまで続けられています。
ある統合型リゾート施設を運営する企業では政府の衛生当局が定めたガイドラインにしたがって、全従業員に検温をはじめとした健康チェックをきちんと行うとともに、業務中に確実なマスク着用を義務付けました。
利用客に対しても館内の施設に入場する度に検温と健康状態の申告を実施しているほか、施設内の清掃と消毒もコロナ禍前より強化しています。
マカオ以外の地域からの客が著しく減少したことによって収益減は不可避ですが、大手のIR企業を中心に新たな収益モデルの模索がはじまっており、構築に成功すれば中国有数の観光都市は新たな時代を迎えることでしょう。

 

ラスベガスにおいても3月後半からほぼすべての店舗で一時休業が始まる

一方、アメリカ最大のカジノ都市であるネバダ州ラスベガスにおいても、新型コロナウイルス感染症の罹患者増加によって、3月後半からほぼすべての店舗で一時休業が始まりました。
当然のことながら、この措置でラスベガスの観光業は大きなダメージを受け、雇い止めが相次いだ結果、4月にはネバダ州の失業率はアメリカ50州の中で最悪となり、営業再開を求める人の声は日増しに高まっていきました。
ラスベガスで大手の施設が営業を再開したのは6月4日で、その後は各店舗で州政府が作成したガイドラインにしたがって営業されています。
ラスベガスの各店舗では、従業員の検温やマスク着用の義務付けが行われているほか、密集状態が形成されるのを防ぐために店内の入場人数は現地の消防法に基づく定員の5割までに制限され、検温で体温が一定以上の客は入場ができなくされました。
場内ではスロットマシンは1~2台おきの稼働となり、マシンの近くには手洗い場が設置され、客は手を洗ってからマシンに触れなければならなくなりました。
ポーカーやブラックジャックなどのテーブルで遊ぶゲームでは席数が減らされ、飛沫感染防止のためにアクリル板で席の間が仕切られました。
店内のパフォーマンスは営業再開後も行われていますが、フェイスシールド着用などの措置がとられています。

 

まとめ

このように、カジノ業界では多くの店舗が一時休業となりましたが、様々な新型コロナウイルス対策を施した上で営業を再開しました。
しかし、感染の広がりを注視しながらという不安定な状態での営業であり、安全・安心を得るためには各国の政府による効果の高い新型コロナウイルス感染症対策の実施が不可欠です。